リュカの背中には、まるで全ての闇を集めたような漆黒の翼が生え、その手にはグラスの剣、闇王をだらりと下げていた。
そして、見る者全てに恐怖と絶望を与えるような邪気を纏っていた。まるで今までの天使状態のリュカとは真逆のオーラを放っていた・・・
グラス「貴様は・・・魔神なのか!?」
リュカ「・・・見て解らないのか?」
わからないはずがなかった・・・リュカの邪気はもはや魔人を超えている。間違いなく魔神以上だろう
だが・・・なぜだ?
グラス「なぜだ!なぜ天使などが魔神になれる!?」
リュカ「カスにはわからねぇよ。キエロ」
リュカが闇王を一振りすると黒い波動が闇王から放たれグラスを飲み込んだ
そして、闇が晴れたときにはグラスの姿は跡形も無かった
リュカ「魔界の・・・ルールだ、上の者には下の者は勝てない・・・」
リア「驚いたわね。まさか闇に飲まれるなんて」
端正な顔立ちをしている女性。いや、女性というには少し若いかもしれないが、悪魔は年齢と容姿が一致しないので女性でいいだろう。
そしてその目は黒目の部分が赤、髪は銀色の滑らかな腰の手前まである長髪を持っているリアが部屋の出口に立っていた
リュカ「闇に・・・飲まれる・・・・だと・・・?」
リア「あら?気付いてないの?まぁ、いいわ。」
リュカ「おまえは・・・誰だ?」
リア「ああ、言ってなかったわね。あたしの名前はリア。このヘル・オア・ヘブンのリーダーよ。とは言っても、あたし以外は全滅したけどね。」
リュカ「レナは・・・どうした!!!」
リア「安心していいわよ。『開く者』ならこの奥に軟禁してあるわ。ちなみにこの映像は『開く者』も見てるわ。」
リュカ「そうか・・・おまえを殺せばレナを助けられるんだな?」
リア「ええ、そういうことね。それじゃ、かかってきなさい。」
リュカ「言われなくても・・・」
リュカは全力の拳をリアに叩き込もうとしたが、リアの邪気に気圧され、止まってしまった。
リア「あら?以外に鋭いわね。魔神の邪気に気付いちゃったのかしら?」
リュカは無言で闇王を振るい、リアに波動を飛ばしたが、リアが手のひらを向けただけで波動は消え去ってしまった。
リュカ「・・・!!」
リア「ふ〜ん、邪気は魔神クラスだけど、このままだと飲み込まれるわね」
飲み込まれるのはリュカ、飲み込むのはリュカ自身の闇
リュカは天使の中でも異質だった。天使と悪魔の親を持つリュカは普通の天使は持っていない闇を少しだけではあるが、心に持っていた。
それが、グラスの見せたレナの死によって覚醒してしまった。
そして、今その闇は、リュカのココロを侵し始めている。
すでに、自我を失いかけているほどに・・・
リア(所詮、あたしの敵じゃなかったわね・・・駒を犠牲にするまでもなかったわね・・・・・)
リュカの猛攻をまるで舞うように優雅な動きでかわしながら、リアは思っていた。
リア「さて、そろそろ終わらせるわね。」
リアがリュカの拳をかわし、腕を極め、折った
リュカ「!!」
リア「それじゃ、サヨナラ♪」
リアが掌をリュカに向けてそこに溜めておいた邪気を放った。
リュカの腹部に当たったそれは、リュカを吹き飛ばすと同時に、当たった場所に大きな空洞を作った。
リュカの内臓は吹き飛び、確実にリュカを死に近づけた・・・
リア「へぇ、まだ生きてるの?以外にしぶといけど、これで終わりね。」
リアが先ほどと同じ技を出そうとしているが、リュカにはすでに見えていなかった。リュカに見えていたのはただ一つ、駆け寄ってくるレナの顔だけだった
リュカ「幻・・・?死ぬのか、な・・・・・?」
だが、それは幻ではなかった。実在していたのだ
レナ「リュカ!!」
リュカ「レ・・・ナ・・・・・?」
レナ「リュカ!闇になんて、負けないで!!負けたら、殴るからね!!!」
リュカは、微笑んだ、ほとんどが砕け散ってしまったココロで・・・
リュカ「サンキュ・・・んで、じゃあ、な・・・・・・」
リュカは目を閉じた、そして、最後に頬に当たる自分と、自分以外の者の涙を感じながら・・・
レナ「リュカぁぁあぁあぁぁぁ!!!!!」
レナの叫びが、洞窟中に、虚しく、響いた・・・・・