夜、あたりが静けさに満ちてきた。
目の前の奴の顔も薄っすらとしか見えない・・・それでいいのかもしれないが・・・
真衣「じゃあ私はこっちの道なので。」
彼女はいつものように去っていこうとする。
隆一「俺は・・・カードを捨てようかと思う・・・」
真衣「な・・・なに言っているんですかっ!?」
隆一「・・・。」
真衣「それにいろいろと聞きたいことがあるんです。
聞かないようにしようと思っていましたけど、やっぱり聞きます。」
なぜ、あなたはデュエルを止めたいんですか?
この問いに俺は黙るしかない・・・
真衣「『なぜそんな事を知っている?』と聞きたそうですね。
店長さんから聞いたんです・・・5年前のある日から
あなたがデュエルをあんまりしなくなった事を・・・。」
隆一「・・・。」
真衣「教えてくれませんか?」
ふと思い出してしまう・・・
−5年前−
あの頃はただ純粋にデュエルを楽しむ普通の子供にすぎなかった。
だが・・・俺が手に入れたある一つのデッキが全てを狂わせた・・・
そのデッキを手に入れたときから、俺は俺じゃなくなる気がした。
まるで・・・自分の中に誰か別人がいるような・・・
それでも大事には至らなかったし、気を強く持っていればなんとも無かった。
だが・・・・・・ある日に俺は知り合いの娘とか言う女の子に会った・・・
たった1日だけだったが、遊んだしデュエルもした。
だが・・・帰りのとき・・・ふと気が緩んでしまった、その後から記憶が途切れる・・・。
気が付いたとき、雨が降っていた。
目の前に彼女が膝を折って地に付いている。
最初は何が起こったのか理解できなかった。
だが、デュエルディスクを見たとき、あのデッキが入っていた。
彼女のデュエルディスクは0を示している。
そして自分の手には1枚のカード・・・、彼女のデッキで最強のカードが・・・。
俺は理解した、俺が何をしたのか、何をしてしまったのかを。
隆一「・・・すまない」
俺に謝る資格があるのだろうか、おそらくカードを渡す資格さえない。
隆一「許せとは言わない、でも・・・」
彼女はそのまま一言も発せず去っていった・・・。
隆一(俺は・・・俺にもうデュエルをする資格は無い・・・)
それ以来、俺はデュエルをほとんどしないようにした。
それが彼女に対する・・・俺の罪滅ぼしだ。
彼女の名を「光 真衣(ひかり まい)」と言った。
もちろんこんなことは口が裂けても言わない。
隆一「それは秘密だ。」
真衣「・・・わかりました、その代わりデュエルの大会、絶対に出てくださいね。」
隆一「わかった。」
それであんたの気が済むならば・・・それくらいしてやるさ。